監修:相模大野駅前タワー整形外科・リウマチ科 伊藤淳 院長
関節リウマチにかかっても、最近では有効な薬がいろいろと開発されていて、特に早期であれば、一層の効果が期待できます。
現在、関節リウマチの治療に用いる主な薬としては、次のようなものがあります。
代表的なものの1つに、関節の腫れや痛みを和らげるなど抗炎症作用や鎮痛作用、解熱作用を有している非ステロイド系の「消炎鎮痛薬(NSAIDs)」があります。これらは、長期に使用により, 胃腸障害、肝、腎障害の副作用を生じる危険性があり、補助的に使う程度になっています。
今日では、関節リウマチを引き起こす免疫の異常に作用し、病気の進行を抑える働きをする「抗リウマチ薬(DMARDs)」が、主として使われています。
さらに症状によっては、炎症を抑えて関節の腫れや痛みを和らげる強力な力を持つ「ステロイド」を使用する場合もあります。ただしステロイドは、使用量によっては、長期使用により様々な副作用を生じることが多いため、使用には注意が必要です。
そして最近になって使われるようになった薬に「生物学的製剤」があります。これは、体内で炎症を引き起こす一種の信号のような役割をしている「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質の一種である「IL- 6」や「TNFα」などの働きを妨げる効果があることから、炎症を促すサイトカインを遮断することで関節リウマチが進行するのを抑えます。
専門医の診断を受けましょう
最近では、こうした関節リウマチの治療薬の進歩や治療法の研究が進んだことで、これまでの治療目標が「痛みの緩和」だったものから、「寛解(かんかい)の状態へ導く」が目指れるようになってきています。ちなみに「寛解」とは「症状がおさまり安定した状態」という意味で、再発する危険性はありますが、ほぼ正常な状態に戻ることをいいます。
このように関節リウマチも、現在は治せる見込みがある病気になっていますから、少しでも思い当たる症状が出た時は、すぐに専門医の診断を受けるようにしましょう。
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